<5回目>
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<活用術その3>

(3)価格や契約条件の交渉
 


先回は、“買付け証明書”のことを話しましたが、この“買付け証明書”を書く時に、買う時の条件を列記した方が良いでしょう。
条件には次のものがあげられます。
不動産業界では、売主より売って欲しいと頼まれた業者は“元付け”、買主より購入したいと依頼された業者は“客付け”と言っていますが、元付けは売主を守る為に行動し、客付けは買主を守る為に動きます。
一般の人が、相手との交渉に立ち会っていやな思いをしないように、不動産業者同士が話し合いをするのです。
勿論、話の内容は事前に売主、買主より了解を得たものです。決定はあくまでも売主、買主様です。
 
@価格
A契約日、契約場所
B手付金の額
C残金支払日(決済日、引渡し日)
Dその他
  ・建物の手直し  ・実測するかどうか  ・更地渡しかどうか
  ・ローン条項の効く期限  ・残置していくもの、持っていくもの

 それでは個別に説明していきましょう。

@価格
交渉の中でもっとも大事な条件でしょう。今は殆どこの価格の交渉を要求されます。
ただ、売主を無視したような、価格ダウンの交渉は、売主を怒らせてしまう場合もありますから要注意です。
最近では、交渉の幅は0〜10%でしょう。又、50万円や100万円の値が下がらないことにこだわる人がいらっしゃいますが、もし本当にその物件が気に入っているのでしたら、こだわらない方が良いと思います。柔軟に対処したほうが良いでしょう。
適正なおおよその価格は次のようにして出します。あくまでおおよそです。
  ・中古戸建
  土地市場単価×土地坪数+60万円×建物坪数÷20年×(20年−経過年数)
  ・中古マンション
  市場u単価×u数またはそのマンションの売買事例
 
A契約日、契約場所
契約日は大体、買付け証明書を提出してから1週間〜10日位が普通です。
この間仲介業者は物件の調査も徹底的に行います。
売主、買主の時間の都合を合わさなければいけないので、ウィークデーの夜8時〜9時ということもよくあります。
契約場所は大体元付け業者の事務所で行います。その反面、決済は買主の指定する銀行で行うのが普通です。
 
B手付金の額
手付金の額は通常物件価格の1割位です。しかし、当社は最近50万円〜100万円にしています。
何故ならば、このところの社会・経済情勢で何が起こるか、分からないからです。
例えば、売主が会社の場合、手付金を預けた後に、いつ倒産するか分かりません。
手付金をとられて、倒産されたのではどうしようもありません。
50万円や100万円だったら、致命的なシコリは残らないでしょうし、当社でも負担できます。
ですから、できるだけ手付金を少なくするよう交渉して貰うことです。ただ、10万円や20万円では誰が売主でもOKはしないでしょう。このように、頭を使って仲介する業者を選ぶことが大事です。
 
C残金支払日(決済日、引渡し日)
引渡し日は新築でこれから建てようとするもの以外は、だいたい契約から1ヶ月〜2ヵ月後です。その間に、ローンの申請を銀行にしてOKをとらなければなりません。
ここでよく問題になるのが、売主・買主が買い換えの場合です。
 
 1)買主が買い換えのケースで、買主が自宅の売却代金を受け取らなければ支払えないという場合。
 1−イ)買主が一度アパートに入る場合又はホテルで仮住いする場合
 1−ロ)買主が中間金を払って移る場合(登記は未登記)
 1−ハ)買主が自宅を抵当に入れて、プラス資金を借入れて、あとで自宅を売却する場合
 2)売主が買い換えのケースで、売主が自宅の売却代金を受け取らなければ、移れないという場合。
 2−イ)売主が一度アパートに入るか、ホテルで仮住いする場合
 2−ロ)全額売却代金を受取り、1〜2日買主に入居を待ってもらう場合(登記は買主のものにする)
 2−ハ)午前中に引越トラックに荷物を積んで、午後に決済をする場合

これらの色々の方法がありますが、当社では今迄スムーズに引渡しをやっております。
ただ、大手では融通が効かないのでここまでの面倒は見てくれないでしょう。
上記の中で、1−ロ)や2−ロ)は原則的には無理があります。決済は、引渡しと残金決済は同時にやることが原則なのです。相手方の理解と仲介業者の交渉力が重要になります。

Dローン条項の効く期限
ローンの可否を決定される期限、すなわち銀行ローンのOKがでる期限はタップリとった方が良いでしょう。
最近は1ヶ月くらいをとります。従って、銀行に出す資料は早く取揃えなければなりません。当社では事前に銀行に打診をしています(これを事前という)。
又、当社では用心をして、トラブルは一切ないのですが、相談委員長の立場でトラブルを分析しますと、ローン条項でトラブルが増えています。
ローンがOKになったかどうかは、自分の耳で銀行に確認したほうが良いでしょうし、銀行との金銭消費賃貸契約は早めにやった方が良いと思います。